大っ嫌いな、あの子・・・

 『私はあの子(A ちゃん)が大っ嫌い!だけど、誰かにとっては、あの子も“大切な人”なんだよね・・・』 

先日娘(中3)と雑談している時に彼女が言った言葉 です。アドラー心理学と共に子育てをしていると、 時々子どもの成長を眩しく感じる、そんな瞬間がやっ てきます。この時も私には娘がキラキラ輝いて見えま した。

こんにちは。2児の母カプチーノです。今回はアド ラー心理学の子育て講座“パセージ”をガイドに子育てをしてきた私と娘のエピソードをお話します。

娘が小学5年生になった頃から、女の子同士の関係が難しくなり、娘はAちゃんから陰湿な嫌がらせを受けるようになりました。気が強く支配的な性格のAちゃんは、学校で強い影響力を持っていて、娘は次第に学校に居場所がなくなり、孤立していきました。

ある日、娘は私に心の内を話してくれました。『私はただ、Aちゃんと仲良くしたかっただけなのに、どんなに努力しても嫌われる、どうしてこんな事になるのか解らない・・・』我慢強い娘が、涙をぽろぽろこぼす姿は今も忘れられません。そんな娘の悲しみや淋しさは、やがて諦め、怒り、そして最後には闘争心へと変わっていきました。

中学へ上がって、別のクラスになっても嫌がらせは続きましたが、強くなっていった娘は徐々に、Aちゃんとの関係を克服していきました。3 年生になった頃、 A ちゃんと同じ高校にならないと良い、と心配する私に、『あの子の事が私の進路に影響するなんて、あり得ない、居ても居なくても、関係ない!』そう言い切った娘に、心から拍手を送りました。

そして今、それでも顔も見たくないほど嫌悪する A ちゃんを“誰かにとっては大切な人”だと認めてあげられる娘を、誇りに思います。もう、この先なにがあっても、娘は人としての道を踏み外す事は無いだろう、 そんな大きな安心を与えてくれる言葉でした。

娘が苦しんでいる間、私が一貫してとってきた対応は、パセージプラスで学ぶ(21-L)【1相互信頼】と 【2協力】でした。1娘には問題を自分で解決できる能力がある、と信頼し2その上で、母に協力できる事があれば、いつでも協力する、とメッセージを送り続ける。私が不安になり迷った時はゾンネンブルーメのみんながこの基本に立ち返るように気付かせ、勇気付けてくれました。感謝しかありません。

私の話は、1 例ですが、パセージに参加すると、様々なママ達の子育ての悩み、そして学びを目の当たりにする事が出来ます。もちろん、短期間で必ず何かが変 わるという訳ではなく、学びの種類もペースもそれぞれです。

人を憎まない、恨まない、ひがまない、そんな事は今の私には出来ません。自分に出来ない事を子どもにやれとも言えません。それでも自分とは感じ方、考え方の違う他人と同じ社会で暮らさなければなりません。アドラーの言う【争いの無い、話し合いで解決す

る平和な世界】は、私にはたどり着ける気がしないような遥か遥か遠い楽園です。それでも、娘が一歩踏み出したように、私も勇気を出して踏み出していきたい と思っています。